ここで詩を書け【馴れ合い】 コテ辞典掲示板 文化部 【上等】
1 名前:名乗るほどの者ではない [2004/05/26(水) 02:39]
・詩板が開けない
・こっそり書きたい
・317タン、、、

などの理由でドゾー

104 名前:もうきん [2007/06/27(水) 14:28]
「マーガレット」

私が病気なのを知っていて
それでもいいっていうから結婚したのに
今ごろになって子どもが欲しいって彼が

ペギー、ペギーきれいなマーガレットのパジャマ
どうしてわたしなんかの前で泣くの

食堂は明かりもなくてまっくら
窓にくっきり細い月が見える

ペギー、ペギーそばかすいっぱいの頬
生きてるだけでいいはずなのにどうして泣くの

もし子どもを産んでも私は
おとなになるまで見守れるかどうかわからない
そんなかわいそうな子どもなんて
でも跡継ぎがやっぱりあきらめられないって彼が

ペギー、ペギーとおい国から嫁いで
ほとんどことばも通じない舅や姑

日本に来たこと後悔してるの
ほんとは口にしないだけでボストンに帰りたいの
どうしてひとりでがまんしてるの
なんにも悪くなんかないのに

ペギー、今エレベータが動く音がした
内科病棟にも夜明けがくる

泣いてもかまわないんだけど
元気出して

105 名前:もうきん [2007/11/02(金) 10:28]
「ゆめ」

ほんとのつらさは
泣いていた夜中
せなかをなでてくれたひと
ゆっくりゆっくり癒してくれた
仕事で荒れたてのひらに

ほんとのさびしさは
わたしが旅立つ朝
お弁当持たせてくれたひと
笑顔で小さく手をふって
立ちつくしていたエプロンに

ほんとの恋は
いつからか知らないけど
ずっと気になる大きな手
つなぐ機会はなくっても
見ているだけで生きられる

ほんとのゆめは
こどものそのまたこども
すやすや眠るこぶしのなかに
いっしょに守ってくれている
あしたが不安にならないように

106 名前:もうきん [2007/12/05(水) 10:38]
「おじいちゃん」

もう薬のための水も飲み込めないし
点滴も自分ではずしてしまったので
乾ききった喉からは声も出なかった

でも毎晩寝る前に耳元で
またあしたね、またあしたの朝会おうねって頼むと
にっこり頷いてくれるんだよね
そーっとドアをしめる前にふりかえると
肘から上をがんばってもちあげて手を振ってくれるんだよね

だんだんにっこりがかすかになって
頷く角度もちいさくなって
でもそれを確かめれば毎晩安心してねむれた

よし(ФvФ)!あしたまではだいじょうぶおじいちゃんはいる
よし(ФvФ)!約束したんだからあしたの朝も会える

おじいちゃんのおむつは
ぜんぜんよごれなくなっていっていつ見てもからからで
ただおしりのかたちにまがっているだけで
食べないし飲まないしあたりまえなんだけどそれがとてもかなしくて
きれいなままのおむつをかえるときなみだがでて
なみだがでて

おむつがよごれないってさびしいね
おむつがくさくないってさびしいね
からだのなかをすっかりきれいにすてて
いってしまうおじいちゃん

夜明け前におじいちゃんは死んだから
最後の約束ははたせなかったけど

おじいちゃんまだ生きていていいって思ってくれてたんだよね
死なないでいようって思ってくれてたんだよね
寝たきりのつらい日々のなか

おじいちゃんほんとは苦しくて苦しくて毎日がつらいだけで
もう開放されたいと思ってたかもしれないね
孫がかわいそうだからつきあって頷いてたけど

おじいちゃんわたしにはかわいがってもらった思い出しかない
ひたすらかわいがってもらった思い出しかない
おじいちゃんの人生やら哀しかった出来事やらなんにも思いやった
記憶なんてない

ごめんね
ごめんね

107 名前:もうきん [2007/12/07(金) 20:04]
「雨」

雨が冷たい午後に夕刊が遅れて
いつもは集金にしかこないはずのおじさんが
とっぷり暮れた道を軽トラックで配達にきて

今朝とつぜん休みたいっていうから
そんな急にはだめだって言ったのに待ってても来やがらねえ
まったく今の子は何を考えてるのかわからないから困る

おじさんは母にこぼしたそうです

その日護国寺にすごい数の傘があふれて
夜になってもそれは絶えなくて

尾崎豊がめちゃめちゃ好きで
何がなんでも葬儀にいきたかったらしいとおじさんは言いました
まったく今の子はテメエのことしか考えていやがらねえ

配達していたのは19歳の新聞奨学生で
そのあとまもなく仕事をやめて故郷へ帰りました

おっかさんのおっぱいが恋しくなっちゃったんじゃないの?
半年もつとめられないで福岡に戻ってこれからどうするのやら
せっかくはいった専門学校もやめちゃったしね
ご両親も心配するだろうとずいぶん説得したけどもうぜんぜん耳もかさなかった

おじさんは疲れた顔をして言ったそうです

その日護国寺にすごい数の傘があふれて
夜になっても駅の混雑が続いて


でもそんな話を聞いたのはずっとずっとあと
尾崎豊の十三回忌に発売されるアルバムのポスターがサティのDVD売場に大きく貼ってあるのを見て
いっしょに買い物にきた母が突然思い出したのでした


それから護国寺を通りすぎるたびに
決まってわたしはその人を思うのです
ううん、尾崎豊じゃなくって
福岡からひとり出てきて、新聞販売店の寮ですこしの間くらして
大好きだった尾崎豊を雨のなか見送って
また帰っていった人がいたのを思い出すのです

名前すら知らないし、もちろん顔だって知らないのに
そのとき19歳だった
その人を

108 名前:もうきん [2007/12/10(月) 00:45]
「思い出のために」

さよならを
言い合わなかった
わかれがすき

109 名前:もうきん [2008/01/24(木) 19:49]
「七五あそび」

こうしてとぎれて黙っても
とんでいくよね
時間って

昔いちばん好きだったケチャップ味のソーセージ
物置のすみに死んでいた年寄り猫の白い腹
せんないむかしの思い出やなくしてしまった宝物
そんなたわいもないことでふたりの時間がとんでいく
木々のざわめき、星のうた

だいじな話があるような
だけど今かはわからない
あんまりふたりは淡くって確かめるにも早すぎて
木々のざわめき、星のうた

あしたも会えると知ってても切なくなるね別れって
それぞれむかえる一晩が1年よりもつらいよな
10年よりも長いよな
木々のざわめき、星のうた

指先ひとつふれあわずむきあうだけのときなのに
あなたの髪色やわらかでさわれもしない距離なのに

木々のざわめき、星のうた

あなたが熱いわたしの目
わたしが熱いあなたの目

木々のざわめき、星のうた

110 名前:もうきん [2008/01/29(火) 10:45]
「夜」

あのころいっしょにいて
いまはだれともいない
あしたはまただれかとわらって
あさってはひとりで泣いてる
いっしょとひとりとくりかえして
いつかきっと心はおわるけど

ひとりはだいじなことだとおもうの
いっしょをつなぎあわせてしあわせなとしつきとかぞえるより
かすかなかぜのおともきこえて
ちいさい鳥がなきおわる瞬間もたしかめられる

ひとりはやさしいことだとおもうの
だれかとはしゃいでいるとなんにもみえないで平気になるけど
ひえこむ夜のくびすじのつらさがわかって
空が白むだけでなきはじめる鳥のせわしさもわかる

ひとりは
ひとりのだれかとしかふたりになれないとおもうのよ
いつかまたひとりになるのをしっかりわかっていなければ
ふたりになれないとおもうの

ひとりは
だれかもひとりだからひとりでいられるとおもうのよ
ふたりになることがあってもひとりをわすれないでいるから
きっちりいきていけるんだとおもうの

たぶん
なつかしがっちゃいけないのよ

おわった時間はさっぱりわすれて
胸にかさねちゃいけないの

よしっななめ腹筋10回ずつだっ(ФvФ)ファイト

111 名前:もうきん [2008/06/03(火) 15:06]
「芍薬」

やわらかくひらいて
次の日には褪せて
かおりも残さず散っていった

芍薬
わたしの一生分の命よりも
あなたのほうがきれい

112 名前:名乗るほどの者ではない [2010/06/08(火) 19:14]
いろいろ
知らなくていい
見つめあっていられなくてもいい

全部飛び越えて
いっしょにいけたらいいけど

いろいろ
わかってもらえなくていい
かなしいこと
受け止めてもらえなくていい

そのままあなたはそこで
そのままわたしはここで

いろいろ
星がまたたく
今夜も月はきれい

113 名前:てす ◆pNGtbbWniA [2013/09/18(水) 05:33]
tes



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