竹輪

コテハン名 メタリック竹輪〔Remodeling〕 (トリップ:◆FCwxSNTwx2)

  (竹輪ぽぇーむ ◆o0rnnbHBHo→メタリック竹輪〔Remodeling〕◆o0rnnbHBHo
  AA投稿専用の名前 Metallic Bamboo Ring◆o0rnnbHBHo)

※トリップ2006/04/29以降◆FCwxSNTwx2に変更しました

説明 竹輪そのもの

板内にあるほぼ全てのコンテスト系スレにて
精力的に審査をこなし、その綿密な審査眼には定評がある。
うんこ好き。

詩、評価レベル 視覚的な詩作をし観客をおどろかすこともしばしば。
伝えたいことが内からあふれでるようで、いわゆる2ch内における
「超長文」のような長さでも本人にしてはいたって普通のことのようである。

コテ名の由来 表現の仕方を隠喩

騙り いないようないるような

厨房レベル たまに我を忘れがち

人気 レスをされれば必ず返すといった律儀さが人気の元であるが、
しかしともすれば議論がのびがちなのが玉に瑕か。

出現スレ  有 刺 鉄 線 
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/poem/1125458203/

 竹 輪
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/poem/1107113660/

代表作品 コテ専用ポエム大会546-550にて初回投稿分の改正版

『紺碧出刃包丁』 



  「「傷さえも時の鱗に只ゆらむ」」

 頭上突っ切る夕暮れバス連れて転がる巻き上がる
 平行移動他人を乗せて
 白惚けたこれが空 窓枠ずれ一瞬にして連れ去る
 あれが窓から見えている空だだっ広いのが空じゃないね橋桁
 掌押し触れる凛々カラカラ
 空に触れている 天空の橋桁にしては頼りない腕だとしても
 どこそに存在する果て
 粒子形状波長変幻させたとしても
 指先は 天空の一部
 溶けだし また繰り返す時の鱗
 微塵に割って走る これも人生


嗚呼 待てと暮らせど便りは届かずにっちもさっちもいかぬ日暮し女は
何処へ 聞いてください おとっつあん
毛筆の使い道も怪しげな女なんで心底心配しながらも憎んでおります故
学無さ過ぎ程苦楽自由自在と申しますか
短絡回路の洗脳 過剰木っ端病み付き 微塵ミジンコと大袈裟にも程がありますが
そう例えるしかありませんこの私の状態
おとっつあんよ
私は今まで確かな正常倫理常識理性知識性格のもとに生活を営んでおりました
しかしながらそれさえも怪しく
不確かでマトモではありえないと疑い
自分以外の人間を心底好きになる事が出来ぬ事実を受け入れてしまった
平成時代の話ではありますが
生まれてきてこの今の今まで私は心底自分以外を好きになった例しがありません事を
恥を忍んで白状する次第これ仕方無し宿命
おとっつあん 
おとっつあんだってホームレスになりたくてなったんじゃありませんよね
勝手に世間っていう眼の束が注目しだしてそう区分分けされたんでしょう?
ダテにホームレスしてないって手みりゃわかるよおとっつあん
媚びるのが嫌なんだよね私にはそれくらい察知出来る
だからその手だよ 
三分前まで見ず知らずおとっつあんに話しきり
おとっつあん
欲しいものは自分の手で掴む掴まないと気が済まない
ソレ妥協が出来ず
一撃転落その棘傷のあるその手に
抱き留めて欲しいんだ
この川の流れを聞きながら


名前がコロコロ変わる女は嘘吐きなようで正直だ
あれやこれやてんやわんやと泣き脅す
炊飯器に飯が無いと見れば泣き財布の中身を見せてと泣き
マスカラが剥げ落ちて客寄せパンダみたいだと笑えば泣く

  「「朧月爪鉤裂きの寝返りや」」

所謂押し掛け居候
店変わるごとに名前を変えついでに名前を呼ぶ位暇なら下拵えをしろと宣う
何様だ貴様等と口走ろうものならば直ぐ様飛んでくるのは出刃包丁
下拵えとは風呂に入れと云う事か察しの悪い私は付け込まれ
とっとと失せろと思う気持ちも相反して不器用な生き方にどことなしか共感をし
灰皿てんこ盛りを美徳とし雑然とした日常のぶち壊し的な女に現つ引き込まれるのでした

  「「芥子咲けば蹴散らし赤憎みけり」」

丁度春画の話が弾む季節でありました
意を反して雪美と名乗り始めた女は
書道の心得も無いままに筆遊びを覚えた時期で
とにもかくにも雪美は常識外れな破廉恥さで私の反応を見ながら
日捲り暦裏に陰茎を描きまして
隣近所に出来栄えを自慢して歩く事を日課にしておりました
咎めようものならば畳に突き刺さるのは本当に用意がいい
研ぎ澄まされた反射神経で出刃包丁


  「「好きならば切って頂戴花柘榴」」

出会いから片時も離れず我が住居に寄生した女は真理子と名乗り
一本気で入れ込んでいた岩絵の具黒線画を上達寸前ではたりと止めてしまい
飲酒に打ち込んでしまいがちになっておりました
酔い記憶を失えば子供を作ると言って聞かず白い泥になって絡み付いてくる始末
かといって酒をかっくらう振りをしてうまく逃れた晩には
「孕ませんなよアンタはアタイの子宮を利用して子孫を残したいだけのケダモノだろ」と
馬鹿の一つ覚えも錬磨すればサマになると不本意だが納得してしまうしかない
ヅカッと右手が半円を描き布団に刺さった出刃包丁
隣近所の主婦達は何やら真理子の気さくさと愉快さの受け皿であって和気靄々
横暴狂暴さは私が請け負い
外面上手な真理子に殺意さえ持つ程感情移入が無かったのでした
つまり過激な馴れ合いと親密さは別な話で
ますます恋人やら夫婦的な感情からは遠退いている私がそこにいたのです

  「「蚓腫れ鬼の霍乱くちづけを」」

余りまじまじと眺めた事の無かった
身近に居すぎな黒髪玉虫よりじっとりと色艶沈んで
見やるように細部まで隈無く観察出来る時間は
花奈絵の爆眠時だと我に返り
世間では朝飯の時刻眠る花奈絵をグウグウ繋ぎ合わせて見ていた
幼い寝顔 幸せに生きている人間の顔
頬艶も良く血管が浮き出たこめかみが目蓋下の
眼球の運動と重なっているのを見入り
早く離れなければと私は強く思い
何をどう基準に思ったのか私より年上な女と知りつつも
芽生えてしまったのは
父親のような我が子感覚


  「「折り畳む丁寧に足夜這星」」

花奈絵から聡子 菜々美と急激に名前を変えた菜々美は
私の心の在り方を素早く察知したのか
帰宅すると部屋のカーテンがシンプルな灰色格子模様から
花柄に変わっていた
ピンク地に色とりどりの
極めて悪趣味なプリント花柄に嫌気がさし私は
有無を言わさず灰色格子模様のカーテンに戻すよう菜々美に怒鳴った
それにしても灰色格子模様のカーテンはどこにも見当たらず
菜々美は畳に足を投げ出しておんおん泣きじゃくっているだけで
役に立つ事は無い
台所へ立ちコップに水を汲み
見たこともない鍋掴みが二つ雑巾と一緒に引っ掛けてあり
灰色格子模様の雑巾鍋掴みランチョンマットコースター
そういえば玄関にも見慣れないもんがと
駆け足で脱ぎたての皮靴が揃えられた私の足元に灰色格子模様の玄関マット
電話にもよく作ったもんだの灰色格子模様電話カバー
次から次へとカーテン地を利用した手芸品が蠢いていたのだった
菜々美は寝床を別にした私を恨むように大量生産を始めたのか
庭にはグラジオラスの白が揺れていても見向きもせず
網戸を開け放った部屋に
揚羽蝶が入ろうものならば叩き
追い出して私にしがみ付いた
出刃包丁は灰色格子模様の包丁入れらしき布袋に入れられ
木の持ち手だけが顔を出し
常に菜々美の周辺にあった出刃包丁
愛情を示すのが苦手な子供が好きなものを口に含むように
指先から舐める一から十迄舐め腐る
刃物を振りかざし挙げ句の果てに刃物を抱えて泣きじゃくる
十八番に鈍感になっていたのは目撃している私であったのでした


  「「宵闇や幽居標の彼岸花」」


 ようやく賃貸の契約が切れる住居に
 おさらばをする時がやってきて
 ためらいもなく
 月日は流れ私は故郷に帰ると告げた日初めて
 私は強く手を握る事もしたことがないと気が付いた
 ただ二人で同居していたような別れ
 そのままの名前でめずらしく続いた菜々美は何故か
 包丁をきれいな流れの川に埋めたと言った

何時に無く白い肌と正面からじっと見やる
黒めがちな眼差しに動けないまま
可憐で純真な少女を私は見ていた
死んでくれと
表情も変えずに菜々美は声が枯れる迄呟き声がでなくなると
荷造りの終わった部屋に残った新聞紙にペンで書きなぐり始めた
死んでくれから始まったはずが死ねに変わり
睡魔に侵された束の間私の首をありったけの力で締め
耳を小さな前歯で噛み

「アタイにとってアンタは全てだったのよアンタは私を憎む程に思っちゃいない」
「だからアンタからアタイと一緒に死んだり出来ないって言わせなくないのよ」
「包丁捨ててやったわアンタの為にアタイアンタの望む通りに生きてて欲しいから包丁捨てて生きてやるわ」

互いに落ち着いたら手紙を書く約束をし故郷の住所を交換しあった
海を隔てた住所に驚く事もなく今更別れを悲しむ事も無く

「アタイの名前は紺碧」