第三十九回

お題:

チャンプ作品
ねこいるか ◆/D0HAk633.

265 名前:二十一歳 投稿日:03/07/02 22:47 ID:M1J+fz+E
夕方 掃除機をかける
誰もいない部屋に ひとり
ゴミをまとめてから
財布だけを持って外へ
オレンジ色の光に吸い込まれ 
ひとり 並盛りを二杯
もくもくとかきこむ
慌ただしい店内にはたくさんのひとりづつが
会話をしあっていたり あるいは
僕のようにほんとうにひとりだったり
けれどみなきまってせかせかとしているようだ

小太りの店員はテキパキと動き回り
あぁ 僕にはこういう仕事は向かないな
と、そう思わせ また
U字テーブルの向かい側のカップルは
あぁ 僕にもこんな可愛らしい彼女ができたらな
と、二杯目の並盛りに憂いの後味をつけた
僕はほとんど噛むことを忘れ
もくもくとそれをかきこんでは
いっきに飲み込んだ

266 名前:二十一歳A 投稿日:03/07/02 23:02 ID:M1J+fz+E
バイト先の服屋が来月一杯で撤退する
それを聞かされた僕はたちまち
接客など面倒くさいだけになった
「いらっしゃいませー」が、取り留めなく素通りしていく
「また考えてみます」と、そう言った客に舌打ちをしたら 
 チッ というその音がやけに大きかった
どうせあっという間だ
たった二ヶ月くらい
並々と飲み下すように
あっという間に過ぎていくんだろうさ
けれどその後はいったい
何をしているんだろうか

ほんとうなら今頃、もっと笑っているはずだった
ひとりでいることが多いのは
自らそうなるような選択肢を選んできたから?
全人類の幸せを数値化して、ランキングを作ったとしたなら
意外に日本人は下位に位置するんじゃないかな
すくなくとも僕には、ただただ日々が慌ただしくて
いや 嘘だな
ただただ日々が単調であって欲しいと望みすぎて
そう 何もかも気にとめようとしなさすぎたんだ

267 名前:二十一歳B 投稿日:03/07/02 23:24 ID:jHQQMJku
帰りに寄ったコンビニは
光がぼやけて浮かび上がり
まるでそこだけが違う空間みたい
けれど手にとった求人情報誌の
滋賀県のページの少なさが侘びしい

誰もがきっと物語みたいな始まりかたの
【いつかなにかが】を期待してるのかもしれないけど
あるいは 岩を穿つ水滴が、滝を生み出すことだってあるのだと
頑なに信じたいと思うのかもしれないけど
意外と、日本人に限らず人間て、報われない生き物なんじゃないかな

なにはともあれ
どこのだれだか知らないが
どこかの見知らぬ神様よ
今のところ僕の人生は
悲しいほどに単調で
ひとりぶんだけ順調です

チャンプ作品に対する批評
Canopus◆DYj1h.j3e.
2点。
途中から加速してよくなっていくんだよね、この詩は。
んで、改めて読み返すと、冗長だった牛丼屋の描写も、実は計算されたものだったことに気付く。
月並みな考察も、普遍性を高めていて、意外な上手さがあります。
最後のシメ、いいね。
でも、何かごちゃついてるんだよね。若さゆえのごちゃつきかな、の、うーん、迷ったけど、2点。

ドン亀◆YdTp8oxx7.
2点。
読まされた。飽きさせない表現、構成に。
俺は二十一歳の時っつったら親のスネ齧ってバイク乗り回して、
バカみたいに何も考えてなかったから、共感はなかったけどな。

激辛正当派◆PmUYNHN29Q
3点。
まず共感詩としての出来がすばらしいな。僕にとってあまりにリアルな21歳。
しかしあまりにそのまま過ぎているというきらいが。独り言率が高い。
あのコテハンじゃないかと思い、あまり3点はどうかという気もするが。
しかし、完成度とか何とか関係なく、自分にとって共感できた。
3点をあげたくなる作品って、やっぱりそういうものだ。

ななほし◆lYiSp4aok.
2点。
よくかけているんだが、重みもあるんだが、誰もがみんなそうなんだようぅぅと
風が吹き抜けていきそう……。

グリーンブック◆VZ.CboVnb2
1点。
いい意味で鬱になったので。





準チャンプ作品
Canopus◆DYj1h.j3e.

264 名前:旬(JUN)の踊り 投稿日:03/07/02 21:53 ID:kQz9bmOz
まわるまわるまわる
とんがり帽子の上で 駅前の花時計の中で
走るダチョウに曲乗りして
短いズボンから ちょびっとはみだして
くるりくるり 上旬はくるりくら

ゆれるゆれるゆれる
燃える馬車を追い越して ハンモックで飛び跳ねて
カニがビキニをちょん切って
たて笛の練習しながら 家に帰った
ゆらりゆらり 中旬はマリリンコ

下旬?知んないよ だって楽しいから
止まんないとか後戻りできないとか
悩んでるふりをするヒマがあったら
黒板に大きく「自習」と書いて
ちょいと火星にでも出かけてみよっか

うたううたううたう ぼくは歌うたい
おどるおどるおどる ぼくは踊りおどり
竹トンボで巣をつくって
10年ひとまわりなんてケチくさいこと言わずに
死んじゃう直前まで
晴れたり雲が切れたり雨があがったり