第三回

お題:

チャンプ作品
509◆FEgWNVKI
509 名前:火蛙 投稿日:02/05/24 23:19 ID:kU1SONrB
私という木は
草も生えない焦げた丘の上に 立ち
両手を枝として広げ
千の青い林檎を実らせて
待ち望んでいる
ついばむ嘴を
もぎとる手を。

私を仰ぐ蛙どもは
私に実っている林檎の蜜を狙って
喉を鳴らしてずっとそこにいるのだが
彼らのためにひとつとて
落としてやる気にはなれない
自慢の跳躍でもぎとってみろ
そのうち干物となる運命か?

しかし蛙とは
火を吐く動物であったか
丘を焦がしただけでは飽き足らず
私の根元は既に焦げている
しかし侮るな
私の逞しい千本の根は
貴様らごときの火では焦がし尽くせぬ。

しかし私には見えている
蛙どもは木に登ることを覚えるだろう
怒りに我を忘れている蛙どもは
もはや蜜を啜ることなど意中に無く
千の林檎を焼き尽くしにかかるだろう
青い林檎は炎で内から赤く染まり
どす黒い灰を風に飛び散らすだろう。

もしも
私がもしも歩けたなら
前へ進み続ける人間であったなら
そして私の腕の林檎が
蛙の目につかぬところに実っていたなら
彼らは私を馬鹿にして
小便もひっかけぬただの蛙であったろうに。



チャンプ作品に対する批評
撫子さん◆eEr7LE3I
特に>>509は、なんつーかバトルの本質みたいなもん感じたよ。

wildcat
Chanpは509さん。やはり、断トツでした。

YKH◆NBQwfAco
さまざまな受け止め方のできる詩だと思いました。
寓話というよりも「そのもの」を表現している感じ。
Wildcatさんの仰るようにも読めるし、人間社会対個人というようにも僕は読めました。
なんとなーく「カムイ伝」を思いだしたのは何故だろう。
曖昧な言い方かもしれませんが、とにかく壮大なダイナミズムを感じました。





準チャンプ作品
該当作品なし