第二十六回
お題:わ
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チャンプ作品 (2作品同点受賞)
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ame◆yUHAxrOw2c
- 36 名前:「ループ」 1/2 投稿日:03/02/09 23:58
ID:H4kW7ILh
- 毎日同じだけの雲と空の比率切り取って回し始めて
誰かの家の塀を乗り越えた猫の生活を思い出すような
朝も昼も夜もなくただ頭の中で音楽は飛び飛びで
空き地のような道路も1日乾いた先に水が見える
マンホールだらけの行き先はどこも凹んだ罠の先
ポケットの中で騒ぎ出す声を握りつぶして目をそらす
学校の階段の数は地下から数えはじめてもきりが無いので
前転の見本を今日も綺麗に決めた彼が主役らしい
いつまでも終わらない音楽を不思議に思った
楽譜を見たらただの永遠ループBGMだった
時計のタイムリミットがないように彼らの世界は空転するだけ
「致死量……自分以外の生き物1個分」
壁に張り付いたロープのような言葉のない説明を気にして
呪文を勝手に唱えるけどどこの宗派かもわからない
ボールはいつも勝手に返ってきて彼女の向こうに消えていくのは
あれは何かの手品なのかどうか気になって仕方が無い奴もいた
- 37 名前:「ループ」 2/2 投稿日:03/02/09 23:58
ID:H4kW7ILh
- ──そうやって人々の未来にはいつも光が必要だった──
みたいな神話と物語と伝承をたくさん抱えるうちに
さてどれが必要な説明だったかなんていまさら忘れてしまうから
いつまでも終わらない音楽の中で眠ってしまうこともある
それでも終わりの次はいつも始まりだったのは
8−4の次はいつも1−1に戻されてあきらめた気持ちと同じ
8方向しかない君らの過去と現在と未来の行方は
AジャンプとBダッシュで放物線を描くだけ
毎日同じだけの空と雲の枚数切り取って輪の中に流し始めて
空き地に積み上げられた土管によじ登ったあの日を忘れると
塀はいつも迷路ではなかったことに気づき
朝も昼も夜もなく僕たちの頭の中では音楽がループする
逃げ水はいつまでも逃げる
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チャンプ作品に対する批評 |
Canopus◆DYj1h.j3e.
2点。 何回か読み直して、ようやくイメージが浮かんできたんですけど、
これはメビウスのループする道、ループする音楽、道にあちこちあいた穴とその喪失感、
が多面的に絡み合っているんですね。
ことばが多すぎて、かっちりした世界観を見い出しにくいのが残念でした、の2点。
ラストエンペラー☆ドン亀◆YdTp8oxx7.
2点。 うーむ。俺の好きな退廃系青春ドラマの香りがする。
「輪」とは微妙に違うような気がしながらも、リミットのない時計の針などで妙に納得させられちまう。
こういう詩だと、大概「躓くもの」が出て来がちなんだが、
ここでは「猫が越えて行く塀の向こう」だというのがおもしれぇ。
どんな生活があるんだろうな、そこ。
安易な流れになっていない構成もよかった。ちと飛び過ぎかとも思ったが。
霧都◆WISH/t.n/I
1点。
シダ科
3点。 「飾るを優先するため、まんまの気持じゃなく少し曲げちゃう」が無い。 逃げ水に呆然と、少し休もう音楽の中で。も休めたつもりの考え中。
ちゃんと生きてたらこんななのきっと。と。なんともな気持。
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しいな まほろ◆tYbIWmaS5o
- 117 名前:。○=。○ 投稿日:03/02/14 16:41 ID:TCjFA4xX
- あたしは
すごくヒマだ
あたしは
魚の全滅した水槽を眺めてる
水槽のガラスをなめ登る
小貝のプリンみたいなお腹が丸見え
貝のお口はお腹にあって
しぼんだり
ひろがったり
おなじことばを繰り返している
○
。
○
。
○
。
そのことばしか喋れない貝を
羨ましいと思っているあたしに気づいた
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チャンプ作品に対する批評 |
Canopus◆DYj1h.j3e.
1点。 ささやかな虚無感があり、お題もよくこなしています。
ラストエンペラー☆ドン亀◆YdTp8oxx7.
2点。
一連目、いきなり肩の力がどっかに飛んで行く。ポエジーも糞もない文章だ。
二連目以降、ずんずんとポエジーが盛り上がってくるが、それにしても
やはりこれはただ単にヒマな世界であり、脱力系ポエジーである。
が、そんなライトな内容にライトな文体がよく合っているのは確かだ。
。○=「わ」としなかったところもいい。貝の言葉はただの「。○」なのだな。 6連目が残念。説明的かつ作品世界をぼやけさせていると感じた。
都立家政◆MD76fFko5o
1点。
霧都◆WISH/t.n/I
2点。
ななほし◆lYiSp4aok.
2点。
ほかの詞よりもいい感じだし……2点多すぎるか?
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準チャンプ作品 (同点4作品受賞) |
- Ippei◆KIno895986
- 10 名前:挑戦者への詩 投稿日:03/02/07 14:34
ID:EntA5z8L
- ほう ひらがな一文字か
この俺に挑戦とは…
十 年 早 い わ 子 童 が ッ ッ ! ! !
まあいい
一つ胸を貸してやろう
『わ』ッ!
それは勇気ある者の称号である!
貴様にこんな体験はないか!
草野球の9回裏 第一打席…
そう!ここで打たなければまず負ける!
外したら後者に多大な負担を掛ける!
決して「ヒットでいいや」などと楽観できない大修羅場!!
貴様にこんな体験はないか!
南場一局目!親は自分!しかも最下位!
ここで上がり続けなければ非常に危険である!!
こんなときに限って屑な配牌…
涙ながらに西や北を切る!
そう!運と実力がなければ乗り切れないこの大修羅場!!
貴様にこんな体験はないか!!!!!!
- 11 名前:挑戦者への詩(続き)
投稿日:03/02/07 14:36 ID:EntA5z8L
- …ええい!まぁだわからんのか!
この極たわけがッ!!
物事の最後というものは非常に肝要であるッ!
その最後というまとまりの中で
口火を切る者の痛み!哀しみ!重圧!
推して知るにあたって忍びないことこの上なし!!
そう!
阿伊宇江於五十音最終行が一音目!!!
「わ」こそ勇気!忍耐!
そして突破勝利への鼓舞なのだ!!
そして男なら「わ」に成れッ!
Boys be 「わ」!!!!
俺は「わ」になった時の
奥歯にかかる力!額に滲む汗!
剥き開かれた眼!冷たく煮えたぎる血液!
大 好 き だ ッ ! ! !
さあ貴様に現物の「わ」を見せてやる!
行くぞ!駅前の「リーチ麻雀さかえ」だッ!!
『それロン』
「わ」ッ!
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- 31 名前:輪(1)
投稿日:03/02/09 01:01 ID:htHBElsp
- ムカデのわ
白金(プラチナ)のわ
ならべて石畳
取り囲むにんげん
のわ
おんなはちいさな口に紅つけて
おとこは重たい燕尾服に締めつけられて
くるしそうなのっぺらぼうで立っているのだ
さまざまなこどもたちが
まるい漬物石のしたに押し込められた
ちゅう ちゅう ちゅう
と一律に鳴きながら
ようやく
じぶんたちから入っていった
ひとまとめ
になって
- 32 名前:輪(2)
投稿日:03/02/09 01:01 ID:htHBElsp
- するとここぞとばかりに
金輪際に在る月は
黒く輝いた
すべてのおとこが胸からひゃっぽんあし出して
すべてのおんなが口からダイヤの飴玉ぷっと吐き出して
寝静まらした漬物石を背中にまわして
わになって踊る
わたしは角の縁石に腰掛けてそれを眺めていた
角いものばかり集めるからほうり出された乞食だった
ただのムカデ
ただの白金
ただのにんげん
そんなものが
わに
なっただけで
ああも
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毛
- 42 名前:雲の輪 投稿日:03/02/10 01:18 ID:XDzBeJHj
- ----人間牧場で人間が人間が人間が
目を覚ましたら
昼を少し過ぎていた
窓の外では
俺の顔をした雲が数珠つなぎになり
空を一面に覆っていた
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藪鳩◆oUVabUhato
- 48 名前:動けない理由
投稿日:03/02/10 23:44 ID:258wk0vL
-
街を歩いていて声をかけられた気がして振り向いたら
そこには広々とした願い事のような風景があった
風が吹くままに遠くなる憧れや未来と
理想の底にあるものとを計りにかける
こぼれ落ちてゆく文字と言葉とが
このとりとめのない気持ちを置き去りにしてしまう
あなたがよく絵を描いていたときの仕草は丸くて
僕にはつかみどころのないあなたの心を
そのままうつしだしているようだった
そして1本の線を引いて眠った
来る日も来る日もただ眠っていた
僕の思い出せないことをすべて
あなたのせいにして毎日を過ごした
思い出やその他の想いは
星になってしまってただ輝いて
あなたの名前を消しゴムでもって
地上で消しさっている僕
すべてを消したら
すべてを消している途中で目がさめました
開かれた白紙の本にただひとつ書かれた「わ」という文字に
いつだって穏やかな心をしたあなたを思い出しました
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