第二回

お題:若葉のように

チャンプ作品
kanon◆0ztbXCV6
286 名前:若葉のように 投稿日:02/05/14 00:01 ID:1s5NEYB0

晩秋の
老葉の奏まるで詩人
歳月を辿り
苦汁を省みる

初夏に萌え
風任せに擦れ合う言の葉
余りに若すぎて

未だ
いかに謳うべきか知らない
俺の言の葉たち


時流れ
晩秋の
老葉の奏まるで詩人
歳月を辿り
苦汁を省みる

胸に秘めるは
未だ輝く若葉色



チャンプ作品に対する批評
YKH◆NBQwfAco
短く優れた詩を作るというのは、難しいものです。それを難なくクリアーしてしまった技量に感服しました。
「若葉のように」というタイトルも、多元的な意味合いをもって描かれているように思います。
まず最初に出てくるのは若葉のように言の葉を多くもたない若者。
そして最後になって、豊かな言の葉を鳴らす老人(?)がその内に、いまだ無くさず若葉色をもっている。
これ、いろんな読み方が出来て楽しいですよね。
辿り着いた地点から振り返ってみると、あの頃にはあの頃にしか鳴らせない言の葉があった。
とか、完成の域に達してもまだ新しきを知る心がそこにあった。とか。
短さに反してとても立体的な詩だと思いました。
不満もあったんだけど、誉めてるうちに何が不満なんだったのか
忘れてしまった(汗&笑)

Canopus◆j1h.j3e.
冒頭の「晩秋の/老葉の奏まるで詩人」は好みが分かれるところですが、
やっぱり美しいですね。老いを感じつつも心の若さは失わない。枯れた味わいです。
予定調和的な構成が気になるかな。私は○のんさんだと思うんですけどね。

撫子審査員◆eEr7LE3I
やっぱり>>286Kanonさんのは、選ぶしかない。。。
改めて読み返してみたら、ジジババに媚びた詩なんかじゃない。
「自分はこうありたい」って、願いの詩なんじゃないかな。。。
そういう風に読んだら、なんか4次元空間に迷い込んだような
感じんなっちゃって、涙まで出てきちったよ。。。(照)
チャンプに推します。これで決まっちったね。





準チャンプ作品
340 名前:若葉のように 投稿日:02/05/16 02:32 ID:SHTa2hfO
手をのばせばとどきそうなくらいに、
窓際でゆれる柳の若葉。
びるの二階の仕事場で、
五月のぼくは今日も忙しい。

雨にぬれた向かいのびるのコンクリートに
柳の葉が、まるで光っているようだ。
いつからだろう、
雨の日を心待ちにするようになったのは。
大好きだった赤い車にも
近頃ではもう乗らなくなってしまった。

壁越しに、
新入社員の女の声が響く休憩室で
ぼくは遅い休憩を取る。
手をのばせばとどきそうなくらいにゆらぐ
まだ触れたこともない柳の若葉を見ながら、
ぼくは煙草の先に時を燃やす。





YKH賞作品
235 名前:若葉のように 投稿日:02/05/11 22:35 ID:b1aBTVY4

   難産で死んだミーコのお墓から 白粉花の若芽

 夏へ向かって 若葉のように元気よく 子猫たちが育つ





Wildcat賞作品
209 名前:若葉のように 投稿日:02/05/11 01:57 ID:???
若葉のような人が好き
そう言い放つあなたは
まるで食虫花のようで
放つ香りにも眩暈を覚える

いつもベットの横にある
植木鉢に生えている植物は
嫌味のようにコロコロ変わる
前のはどうしたか聞いても
わかるでしょ?
と言い、蔦を絡ませてくる

葉を滑らかにつたう雫は
白い肌に浮かぶ汗とかさなり
揺れてつられて落ちた

それに映るあなたの姿は
ひどく現実味を失い崩れていき
それに映る僕の姿は
もがき苦しんでいるようだった

若く鮮やかな深緑は
いつしか咲き誇る
真っ赤な花の為にあると
含み笑いと共に





Canopus賞作品
243 名前:若葉のように 投稿日:02/05/12 14:37 ID:e0W54KG2

振り返り過去をみつめる
俯いて行く記憶の果てに己を見た

過ぎ去った記憶をものともせず
歩き男として上方を向いている

青きみずみずしい新緑とは違った趣で
私は思う 深緑の眼差しを

人の夢と儚さに圧倒され
潰されゆく心力を辛うじて堪(こら)えています

自然と対話の出来る私ですから
若葉のように人と生きたいと願うのです

絞め付けられる時代に呑み込まれても
紅葉した葉を齧り尽くして歩いて行くのです