第十五回

お題:

チャンプ作品 (2作品同点受賞)
ピンクフラミンゴ◆PINKvHEPP.

541 名前:楽園の海 投稿日:02/09/30 14:03 ID:7a2smNQT
 
鳥は毎夕波打ち際に出でて
スタイロフォームの漂着する砂浜に
打ち寄せられる屍骸を啄ばんでは
腐った肉と
半ば固形化した血にまみれた嘴で
水泡のはじける音と
沈む太陽を曲解した鶏の喚声に合わせ
ひとしきり不協和音を奏で
闇の訪れる前にと
藪の中へ羽根を隠し
食い散らかされた人肉を
洗う満潮の頃ともなれば
波は黒曜石の輝きを取り戻し
ただ朧げな生白い月の微光を映しては
沈黙を守り
朝になれば発酵する赤潮を内包しながら
言葉を海底へと
深く沈め続けるのみ



チャンプ作品に対する批評
Canopus◆j1h.j3e.
反語的な楽園です。
時間の推移に従って微妙なきらめきを見せる海。
静謐であり、やわらかく死を包み込む。満潮時と朝の海は、ほぼ同じことを言ってるよね?
そこが気になりましたの2点。

撫子さん◆eEr7LE3I
「楽園の海」=2点
ほんっと長い一文だよね☆ でもそれがひとまとまりとしての楽園の海を表現してるんだと思た☆
まさに人間なんて知らない楽園の海っちゅ〜☆ 正直、キレイだぁ☆と思いまちた☆ 
最後の行なんて、惚れぼれ♪ でも、もうちょと読ませる工夫も欲しかったかな★ 82てん☆

霧都◆LWQf3H.k
1点 (連分け等、工夫があればもっと良くなる)





構造◆/Cej999/v6

549 名前:酸い口 投稿日:02/10/03 14:16 ID:cxflOAaD
倦怠なるまがい言葉にふさわしからぬ激動が私の体を覆った
そいつは痺れになりきらぬ点描をここだあここだあと
描きつつ私の目に、鼻に、口にと五感すべてを満たし
いつぞやの空気をおもいおこさせるときがそこにやってきていた

冷たい海よ、もはや土のにおいのする秋風をその上で遊ばせ
自らの蒼い色へと染めていくその過程に
わたくしというテトラ堤は港には収まりきらず膨張していく

その虹色の円環がこのキャンバスの額になりきる、という幻想も
ふくめて潮風だ!とおまえはさけびわたしはあくまで冷静に
麻酔だと水をあびせる、わたしがくわえたその電撃を
あらゆるベクトルへと進行させる鉛管を地下に忍ばせながら
海よ おまえは酸味に満ちているのか?



チャンプ作品に対する批評
Canopus◆j1h.j3e.
タイトルは『すいろ』と読ませるのかな?
それにしても何とかならなかったのかな…。題名で萎えます。
2連めがいいですね。前半で飲み込んだものを後半で循環させる、つまり味わう図式。
口腔にじわっと海の、いのちの味がひろがってきます。
描写力には脱帽でした。1点のつもりだったけど、気が変わった。2点です。

撫子さん
◆eEr7LE3I
「酸い口」=3点
今日はTVで「マトリックス」見まちた☆
こういう現実と言葉世界を自由にひん曲げてしまったよーな作品、なんだかマトリックスぽいよなー☆
各連を独立したものだとして読めば、とってもその不確定な物のダイナミズムが味わえるなー☆
と思ったんだケド、はっきりいって各連の繋がりはさぱーりわかりませんでちた☆
「私」「わたくし」「わたし」は別のものを意味してるのかな?
よーわからんケド、読んでて一番気持ちよかったのはコレでちた♪
88点!は本当は2点にしてるんだケド、特別サービスで3点あげる☆





準チャンプ作品 (今回該当なし)