第十三回
お題:黒
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チャンプ作品
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雨◆sXJFXmoY
- 419 名前:深い森 (1/3) 投稿日:02/09/15 19:22
ID:umTVIBwr
太陽を埋めたあの場所で
森が森であることをやめたあの場所で
僕は黒山羊を待つ
なんて明るいんだ 夜空は
その広すぎる背中に後ろ手で輝きを隠して
なんて明るいんだ 宇宙は
虫ピンで標本にされた星星が硝子の向こうで煌めいて
明るさが指も引っ掛けない場所へ行こう
黒山羊の眠る場所へ
僕はうわついたスキップで深い森へ入る
紅葉の淡い恥じらいも
楠の静かな威厳もぜんぶ闇に溶け去った
おいで 黒山羊よ
木々が結んだ手と手の間から
無数のインクが滲んでゆく
夜空に雲が差し掛かる 黒山羊が目を醒ます
その凍りかけのメデュサの瞳が僕を見つめる
やあ 待ってたよ
- 420 名前:深い森 (2/3) 投稿日:02/09/15 19:24
ID:uXJ5RKpg
踊ろう 黒山羊と 遊ぼう 黒山羊と
誰も僕らを見つけられない
一緒に手紙を食べよう 読めない手紙を
一緒に栗鼠を殺そう
見えない栗鼠を
踊ろう 黒山羊と 遊ぼう 黒山羊と
君の角は立派かい ひげは長いかい
ぼんやり浮かぶ光の幽霊で
君の姿を描いてみよう
笑おう 黒山羊と 跳ねよう 黒山羊と
時計の音は聴こえない
誰も呼びにこないよ
もっと見つめておくれよ
僕を石にするまで
踊ろう 黒山羊と 遊ぼう 黒山羊と
聴こえるのは迷った風
潮の匂わない遠い波涛
僕らはどこにいる?
どこにいる?
遊ぼう 黒山羊と
遊ぼう
遊ぼう
- 421 名前:深い森 (3/3) 投稿日:02/09/15 19:25
ID:YR+TwqAl
空がゆっくり後ろ手をまわし
拾ってきた太陽を再び目覚めさせる
少しずつ森が生き返る
様々な色がよみがえる
潮騒が木々のざわめきに変わる
森がおしゃべりになる
遊ぼう 黒山羊と
もっと手紙を食べようよ
見つめてよ メデュサの瞳で
でも黒山羊は 消えてゆく
鮮やかな森の中に溶けてしまう
姿も見せずに
ああ
なんて明るいんだ
どこもかしこも
深い森で 日没を待つ
この深い森で また黒山羊を待つ
僕はひとり
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チャンプ作品に対する批評 |
Canopus◆j1h.j3e.
明るすぎる夜空。大きな瞳をもった、踊る黒山羊。陰影となって消えている森。
これらのイメージがフーガとなってキャンバスの上に描写されていきます。
暗闇に山羊と踊るのはサバトをイメージさせるんですが、この詩では、いくぶん淡い、
シャガールの絵のような風情で、読んでいて心地よさを感じます。
何といっても気に入ったのが、主義主張を感じないところ。純粋なエンターテイメントを感じましたの3点。
ストーリーは単純なんですけどね。
撫子さん◆eEr7LE3I 3点 いやー☆もう、何も言うことはないだぁよ☆
「無数のインクが滲んでゆく」とか「ぼんやりと浮かぶ光の幽霊で」とか印象的なシーンがたくさんありまちた☆
イメージするものも言葉も構成も、ほんとうにオーソドックスだから、もうちょっと時間をいじくったり、
言葉をバラバラにしたり、とか要望はあるんだケド、これほど隙なくまとまってると、何も言えないよー☆
一語入魂の力。とにかく読み解く快感を存分に味わわせてもらいまちた☆96点! ありがと!☆
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準チャンプ作品 |
ポチットナ――
- 401 :moment(1/4) :02/09/13 21:00
ID:NmbJ8e7q
- 闇の只中
ふと 眼を見開く
・・・
見開いた
視線の先は
何も無い
闇
ただ
ォォオォ
時空の
微かな流れ
私は盲目のまま
身動ぎもせず
ォォォォオオオオォォォォ
しかし
視線の先
闇は渦を巻き
すべてを呑み込みはじめ
ォォォォォオオオオオォォォォォォォォ
やがて ォォォォォ
私の惰性をも引き剥がし ォォ
私を ォォオオォォォォオォ
巨大な速度の中に ォォォオオォ
渦巻く ォォォ
闇の只中に
- 402 :moment(2/4) :02/09/13 21:05
ID:NmbJ8e7q
- ォォォォォ
ォォォォォォォォォォォォ
ォォォォォォォォォォォォォォオオォォォォ
ォォォォォォォオオオォォォォオオオオォォォォ
ォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
吸い寄せられる オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
何もかもが オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
闇の中で
形を失い オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
もがき オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオオオオオオオオオ
叫ぶ オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオオオオ
その声 オオオオオオオオォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オォォォオオオォオオォォオオオ
オオオオオォォォォオオオォオオオオオオォォォオオオォォオォオオオオオオォォォオ
オオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオォォォォオオオオオオオオオォォオオオオォオオオオ
オォォォオオオオォォオオオオオオオ
その声が オオオオォオオオオォォオオオオォオォオオォオオオォォオオオォォォオ
オオォオォオオオオオォオオオオ
巨大な速度を オオオオォォォオオオオオオオォオオオォオオ オオオ オオオオォォオオォ
オオオォオオオオオオオ
異形の黒へと変えてゆく オオォオオオオォォオォオオオオ オォオォオオオオォオォ
オオオォオォォオオオォオ
オオォオオォオオオオォォオオオオォォオオオオォオオオォォォオオオォオ
オォォオオオオ
オオオオォオオオオォオォォオオォォォオオオオォオォオオオォオオオオオォオオォオオォォオォオオオオ
オオオオオオォオォォオオオォオォオオオオオオオオオオォオオオォオオオオオォオオオオオォオォォオオオオオオ
オオオオォオオオオォオォオオォォオォォオオオオオオォォオオォオォオオオオオォォオオォオオオォオオオオオオオオオオオオ
見開かれたままの
眼
- 403 :moment(3/4) :02/09/13 21:06
ID:NmbJ8e7q
- オオォオオォオオオオオォオォオオオォオォオオォオォオオオォオォオオォオオォオォオオオォオオォオオオォオオオォオオオオォオオオオオオ
オオオオオオォオオォオォオオォオォォオオオオオオオオオォォオォオオォオォオオオォォオオオオォオォオオオオォオオオォオオオオオオオオ
闇の只中 オオオオォオオオォォオオオオォオオオオオォオ
オォオオオ オォォオオオオォォオオオ オォオオオオオォオオオオオオオオオ
私の叫び声も また オオオオオオォオオオオォオォオオオ オォオォオオオオ
ォォオオオオォオオ オオオオォオオオオオォオオオオオオオオ
かき消されてゆく オオオオォオオォオオオオオォオオオォォ オオオオォオオオオオォオオオオ
ォオオオォオオオォオオオオオオオオオオ
オオオオォォオオォオオォォオオオォオオォオォオオオオオォォ オオオオオォオオオオォオオ
オオオォオォォオオオォオオォオオオオオ
オオォォオオォオ かォ消されオゆく オオオォオォオォオオオォオ オオオォォオオオオォ
オオオォオオオオオォオォォオオオオオオオオ
オオォオオオオオオオオオォオォオオオオオォオォォオオオオオオオオ オォオ ォオ
オオオォオオオオオォオオォオオオォオオ
オォオオオオォオオオオオオォオオオかォオ消オオォてオく オォオオオオオォオオオオオオォオオオオォオオオオオオオオオオオオオ
オオオォオオオオオォオオオオオオオオォオオォオオオオォオォオォオオオオォォオオオォォォオオオオオォォォオオオオオオオォォォオオォオ
オオォォォオオォオオォオオオォオオオオオオオォォオオォォオォオォオオオオォオオオ消 オオオオオォォオオオォオオオォオオオオオオオオ
オォオオォオオオオオオオオオォオォオォオォォォオオォォオォオオオオオォオォオオオオォオオオォォオォオオォォオオオオォオオオオオオオ
すべてを覆い尽くす オオオオオオォォオォオォオオオォォオオォオオォォオオオオオオォオォォオオオオオォォオォオオォオォオォオオオオ
オォオォオオオォオ 闇 オオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオォォオォオオオォオオオオオォオオオオオォォオオオオ
オオオオォオオォォオオ 渦 オオオオォォオオォォオオオオォオオオオオオオオォォオオォオオォオオオオオオオオオオォォォオオオオ
- 404 :moment(4/4) :02/09/13 21:07
ID:NmbJ8e7q
- オオォォオオオオオォォォォオォオオオォオオオオオォオォオォオオオオオオォォォォオオォオォオオオォォォォォォオオオオオオオオオオオ
オォオオすべてを掻き消す オオオオオォオォォォオオオオオオオォォオオオオオオオオォォォォオォオォオォオォオオォォォオオオオオ
オォオォォオ 暗黒ォォとォ混沌 オオオオォォォォオオォオォオオオォオオオオォォオオオオオオオォオオォォオオオオオオオオオオ
オオォォォォオオオォォオォォォオオオオオオオォォオオォォオオオオォォォォオオォオオォォォォオォォオォォオオオォオオオオオ
オオ時さえも オォオオォオオオオオオォオオオオオオオオオオオォォオオオオオオオォオオオオォォォォオオオオオオオ
オォオオ畏れ慄き
オオオオオォォォオオォォォオオオオオオオオオオォォォォオオオォオオォオオオオオォォオオオオオ
オォオやがて
凍りつく オオオォオォォオオオォォオオォォォォオォオオォオオオォオオオオオオォオオオオオオオオオオ
オオォォオオォォオオオォォオォオォオォオオオオォォオォオオオオオォォオオォォオオオォォォオオォォォオオォォォオォオオ
ォオオオ
す べてが オオォォオオォォ オオオォオォオォオォオ ォォオォオオ オオォォオオ オオ ォォオオォォォオ オ オ
オォオオォ ォォ オオオォ ォオオ ォオオォォ オオォオォ オ オォオ ォォ オォオオ オオ オォ ォオオ オオォ ォ
オオ
オ 闇 に オ オォ ォオ オォ オ オ オォ オォオ オ ォオオ オオ オ ォォ オ ォ ォオ
ォ オオオ
渦 を 巻 い オ ォ ォ ォ オ ォ ォ
オ オ た ォ ォ オ
ォ ォ
ォ
ま
ま
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