第十回 お題:車輪 |
チャンプ作品 (同点3作品 チャンプ賞受賞) |
うみのせい
|
チャンプ作品に対する批評 (通常審査、協議分含む) |
Canopus◆j1h.j3e. 世界の作り込みにやや甘い点がありましたが、それでも情景描写は的確で、よく伝わってきます。 詩の完成度としてはこれが一番だったかも。 2点。 wildcat◆nyancoBs 読んで楽しいという意味では、これがNo1でしょう。 ボビンの正体も、主人公がなんなのかも、最後までわかりませんでしたが、 余韻を持たせた最後が、どうにも魅力的でした。 ぎっとんばっとんという擬音語も心地よいです。 ただ、もう少し正体を明かしてもらってもいいのではないでしょうか。感情移入しそこなった感じがありました。 ってことで、2点。 撫子さん◆eEr7LE3I 自動車のタイヤよく考えたら恐い音シャラシャラシャラ ネッちゃん◆/a8bMydI なんて説明したらいいのかわかりませんけど なにか心の奥の無意識の領域に触れてしまったみたいです 子供の頃遠くから妙な音がよく聞こえてきて 姉と二人で心細くなっていたのを思い出しました たぶん読む人の記憶に訴えてくる詩なんだと思います もしかしたら人類の記憶にも? 3点です よく読んだら誰の感情も書かれていないんですよね 黒い大きな音が転がってきて 恐かったのか、悲しかったのか、嬉しかったのか ぜんぜん書いてありません 出来事だけです だから読者の感情が自由にされるんだと思います 価値とはばっさり切り放されて彼岸にあるような感じ 中原中也みたいな感じを受けました |
画廊主人 (SEE ME)
|
チャンプ作品に対する批評 (通常審査、協議分含む) |
Canopus◆j1h.j3e. 蝉は、成虫として1週間しか生きられないんですよね。 土の中で、ぬくぬくと過ごす幼虫時代は、きっと幸せなんだよって誰かが言っていたのを思い出します。 なんと言っても着眼点の鋭さが光ります。 断末魔の蝉を車輪に見立てることはなかなかできることではありません。 そっと引導を渡す描写も心に残ります。 ただ、ことば遣いに、おおっと驚くような場面がないのも事実です。 平易なことばと表現で充分に描写しきったのは評価できますが、 一方では物足りなさも感じましたねの2点です。 綿密な語り口と着眼点の面白さに惹かれました。「ブレーキ」の比喩だけは、やめてほしかった。 wildcat◆nyancoBs 車輪というテーマから、セミが出てくるとは、それだけでも充分すごいとこです。 >でも、あんたの一生だって >そんなもんでしょう >意味なんて蝉の空回りほどにも >ない ここが一番言いたかったことでしょう。「ない」の前に1行開けて間をとったところは、テクニシャンですね。 インパクトを強めるのに、有効だったと思います。 でも、セミがそういう飛び方するのは、生れてすぐのイメージが強いので (夏場に、朝早く雑木林に行くといくらでもお目にかかれます)、 そこがちょっと違和感を感じました。 でもって、2点。 ネッちゃん◆/a8bMydI ニヒリズムは嫌いですけど その認識がなければ人生は始まらないんですよね 徹底的にニヒリズムに気づかされた夏の終わりに 蝉を踏んづけた足はやっぱり優しいのだと思いました 3点です 価値はない虚無だという価値観で固まっていますよね 車輪のテーマが頭にある時に 地面でひっくり返ってもがいてる片羽の蝉を ニヒリストが見たら ぱっと考えついちゃえる詩だと思います でもやっぱりこの詩の一番いいところは 蝉を踏んづけちゃうところだと思うんです しかも「そっと」です 私は植物人間を安楽死させてあげる植物人間のような 優しさを強く感じました なにより全作品のなかでこれが一番泣きました |
isuka
|
チャンプ作品に対する批評 (通常審査、協議分含む) |
Canopus◆j1h.j3e. 確か「凛々と」というテレビドラマがありましたね。 題名は、それに掛けているのかな。 一時の驟雨を駆け抜ける夜汽車に、二人の想いが交錯する。 静謐の感情と簡単な会話とのリズムが心地よいです。 最終、月夜がこぼれ落ちていく情景を、リズムを壊して綿密に描写するのがよかったかも。 最終行で詩の完成度がガクッと落ちてしまいました。しかし、それぞれの連の余韻とたたずまいに3点。 それでも、走馬灯のような情景の変遷と美しいことば遣いが私を捉えて離さなかった>>96-97に3点。 画竜点睛を欠くような終わり方には不満でしたが。 wildcat◆nyancoBs 全然違うことを考えていてもそれでも一緒に歩いている。そんな夫婦像を感じました。 寝台列車でのアダルトな旅。お互いの距離を測るようにどうにもかみ合わない会話。 こういう世界には、私は初めて出会ったと思います。 とても新鮮でしたし、高い完成度を持った作品だと思います。 最後の「お月様が追いかけてくる」には、ちょっと安部公房を思い出させますが、 じょうずな使い方だと思います。ってことで3点。 撫子さん◆eEr7LE3I 想像すると笑えるのが老夫婦のまじめな会話だよね |
準チャンプ 該当作品なし |