新10 1-
44:「月」の逆位置 6/11 0:37
姫は笑いざわめきながら
歌うように語り出す
「これはすべては恋ゆえに
恋は何より尊いものなれば
家も親もかまやせぬ
この世で添い遂げることができぬなら
誰にも渡さぬ愛しい人よ」
みだれし髪も血で汚れ
頭から伸びし二本の角
すでに心は闇に染まり
鬼に落ちしを示すなり
「おぬしも私の邪魔をするなら
それ相応の罰をと思ったが
今はとても気分が良い
見逃してやろう
感謝するがよい」
そう言って艶やかに笑うと
闇の向こうに消え去らん
残るは屍と
唖然とする武人のみ

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