新10 1-
12:むこうの317 ◆317..n/Ke6 6/4 20:18
ある病気の少女がいた
18になって間もない頃
高校を卒業して間もない頃
その病気は彼女の中に居座った
小さい頃から
体が丈夫なのだけが取り柄だったのに、と
酷い風邪をひいても食欲だけは落ちない元気な子だったのに、と
体育会系で運動が大好きな子だったのに、と
少女の母親は涙を流し途方に暮れる
中肉中背で健康的な肢体であったその少女は
無理なダイエットでもしたんじゃないか、と思うほど痩せていた
その病気は一度発症すると一生抱えていかなくてはならない
定期的に病院に通う日々が一生続き、つらい検査を受けなくてはならない
好きなものを食べたくても何でも好きなように食べる事が出来ない
終わりのない制限ばかりの日々が続く
本人の意識と正しい治療を続けていたならば
普通の人と同じように生活でき、運動ができ、出産も可能だという事で
それだけは救われた、と思っていたのは
本人以外の人達だけだった
長期の入院
見舞いに行くと必要以上に心配そうな顔をしていたであろう俺を睨みつけ
泣き喚きながら手元にあるものを片っ端に俺に投げつけてきた
症状そのものは重篤ではないものの、自殺の惧れがあると医師の判断により
安定剤は服用ではなく点滴によるものに切り替えられ、面会謝絶が数ヶ月続いた
まだ18歳の痩せた少女の肩には、この病はかなり重過ぎた

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