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213:白鑞金 ◆XQOqpD8gDY / :
浜大津の商店街で偶然しりあった小学4年生の娘がいる。陶芸暦は俺などより
長い。それはそれとして、彼女は沖縄料理の居酒屋の子だ。頭の回転の素早さ
はいろんな気配りから否応なく身に付けたものだろう。聞けば「島唄」が好き
だという。このあいだはゴーヤの浅漬けをくれた。そのまえはラフテーを差し
入れに来てくれた。
その陶芸教室から俺は一身上の都合で離れることになった。しかし彼女は何と
いうこともなしに、電車に乗ってかよっているようだ。
俺はその子にいった。
「沖縄か〜。じゃあ『太陽の子』を読め。灰谷健次郎という人が書いた本だ。
俺はいまの君と同じ才くらいで読んでたぞ」
彼女は何かちょっと考えているオモテをのぞかせたが、そのまま口をつぐみ、
さっと全然ちがう話題へとすべりこんでしまった。たぶん、まだ読んでいない
だろう。義務でも何でもないから。
ところで、むこうの317氏よ。俺の声は君に届くだろうか。義務でも何でも
ないのだけれども。
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