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205:名前はいらない / :
「多分あんたの事が好きだったから
引き止める奴は居なかった」
無関心とも取れる潤滑さで
俺らはあんたの苦労を理解し
少なくともしようと努めたし
あんたの意思を尊重したし
あんたを繋ぎとめようとする有象無象を腹に収めた
あんたが作ったその場所は
あんたのものであり
それと同時に
あんた一人のものじゃなかった
これは非難ではなく感謝
あんたが作ったあの場所は
俺等にとっても大事なものであり
しかしそれでも
あんたよりは守るべきものじゃなかったわけで
結局俺等は両方手放した
多分あんたが好きだったから
詩板に居ながら不器用な俺は
帰って来いの言い方を知らない
強制をせず
疎ましがられず
それでも素直にあんたを呼ぶ術を
思いつかん
何日唸っても
今が気に食わないわけではなく
未来に順応できなくもないだろう
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ir ver 1.0 beta2.2 (03/10/22)